【予防保全・予知保全・事後保全まとめ】3つの設備保全で工作機械のトラブルを未然に防ぐ

予防保全・予知保全・事後保全について知りたい方「設備保全について詳しく知りたい…。NC旋盤やマシニングセンタなどの工作機械のトラブルを未然に防ぎたい…。保全のスキルやノウハウがなくてもできることはあるのか…。誰か具体的に教えてください」

こういった疑問に答えていきます。

本記事の内容

  • 【予防保全・予知保全・事後保全】3つの設備保全について
  • 3つの設備保全の効果と現実
  • まず始めるべきことは?

本記事の信憑性

この記事を書いている私は、15年の大手工作機械メーカーでのサービスエンジニア歴2000件以上のメンテナンス実績をもとに、現在は独立してフリーランスのサービスエンジニアとして活躍しております。

動画解説:【予防保全・予知保全・事後保全まとめ】3つの設備保全で工作機械のトラブルを未然に防ぐ

本記事の中から動画で解説しております。文字情報よりも頭に入りやすいと思います。

設備保全のよくある疑問として、「メンテナンスが大事ということはわかるが、いったい何をすればいいのろうか…。そもそも保全って何なの…。」という点です。

私自身お客様先で、「機械のメンテナンスをやっていれば、この修理は防ぐことができたのにもったいないな…。」と思うことがよくありました。

※3分ほどで記事は読み終わります。3分後には、今までよりも設備保全や、機械トラブルを未然に防ぐ方法についてよく理解できています。

設備保全に関してよく知りたいという方必見です。

【予防保全・予知保全・事後保全】3つの設備保全について

設備保全とは、工場の機械や設備が問題なく稼働するように維持管理することを言います。3種類の設備保全がありますので一つずつ解説していきます。

事後保全(Breakdown Maintenance)

事後保全とは、工場設備の工作機械に不具合や故障が発生した時に行う保全業務のことです。マシンダウンに素早く対応して、ダウンタイムを短縮させることが求められます。

事後保全の対象には、機能停止型故障と機能低下型故障の2種類があります。

  • 機能停止型故障:完全に機能が停止してしまうマシンダウン状態を指します。
  • 機能低下型故障:動きが悪くなったり、性能が低下したりする故障。
  • メリット
    • 保全業務にかかる人材や部材のコストが抑えられる。
  • デメリット
    • 不良品が発生するリスクがある。
    • 突発的故障によるダウンタイムによって、生産計画に遅れが生じる。
    • 重大な事故につながる危険性がある。

予防保全(Preventive Maintenance)

予防保全とは、工場設備の機械が壊れないように事前に行う設備保全のことです。決められた期間で、決められた内容の保全業務を行い、設備が壊れないようにすることを目標とします。

予防保全の部品交換には、時間基準保全と状態基準保全の2種類があります。

  • 時間基準保全:部品の状況にかかわらず、一定の期間使用した部品の交換を行います。
  • 状態基準保全:部品の状況を確認して、劣化具合に応じて交換を行うものです。
  • メリット
    • 不良品の発生を防止できる。
    • 突発的な故障や不具合によるダウンタイムを減少できる
    • 生産性が上がる。
    • 保全スケジュールが容易
    • 重大な事故の発生を防ぎ、労働安全が守られる。
    • 設備や機械の長寿命化を図れる
  • デメリット
    • 正常に稼働していても保全活動を行うため、人材、部材の余分なコストがかかることがある。
    • 予防保全計画を立てるのに経験やノウハウを持つ人材が必要となる。

予知保全(Degradation symptom diagnosis)

予知保全とは、機械の故障がおきる予兆を見極めて、予兆がでたら保全することをいいます。予防保全と予知保全は故障を防ぐために事前に行うという点では同じですが、予防保全は時間や状態を基準に定期的に保全を行うのに対して、予知保全は故障の兆候があるとき保全を実施するものです。状況監視保全とも言われています。

最近では、予知保全を行うためのIoTを用いた機械や設備の監視システムが注目されています。

  • メリット
    • 無駄な人件費や部材コストが発生しにくい。
    • 不良品の発生を防止できる。
    • 生産性があがる。
    • ダウンタイムを回避して、生産性を向上できる
    • 重大事故の発生を防止でき、労働安全が守られる。
    • 保全業務に携わる人員数の適正化が図れる
    • 設備や機械の長寿命化を図れる
  • デメリット
    • IoTデバイスや監視システムなのどの導入コストがかかる。
    • 保全業務が突発的に発生する

3つの設備保全の効果と現実

工作機械などの工場設備のダウンタイムを減らすためには保全活動が必須となります。3つの設備保全を意識して設備保全を行うことで、生産性は確実にアップします。

特に、設備の故障による生産性ダウンを避けるためには、予知保全・予防保全を行うことが効果的です。また、故障した機械や設備は修理しただけで終わるのではなく、事後保全(再発防止対策)を実施することが大切です。

しかし、忙しい業務の中で、設備保全を実施することが難しいのもよくわかります。ほとんどのお客様では設備が故障したときに修理するだけとなっています。

実際に各保全に対してしっかりとケアされていると感じるのは、限られた大手メーカーの工場だけです。

それでも効果が大きいのも事実です。できるところから少しでも取り入れていただければと思います。

まず始めてみるべきことは?

日々の業務で忙しかったり、スキルやノウハウがないと結局何もできずに故障してから対応することになっていないでしょうか?そんな方はまずは日常点検に力を入れてみるのがお勧めです。

各軸のワイパー・エアフィルター・油圧オイルの点検を行っていないために起きる不具合はけっこう多いです。設備についてくるメンテナンスマニュアルに記載されているような日常点検をするだけでも、突発的な故障はずいぶん減らすことができると思います。

現在、生産設備はオートメーション化が進み、工作機械の複合化も加速しております。そんな中、設備保全に必要とされる知識や技術が高度化しました。また、短納期を求める顧客ニーズによって、製造のリードタイムが著しく短縮化しているため、以前よりも設備の故障が生産計画に大きな影響を与えるようになりました。

そのため、設備保全を効率よく行い、生産設備を安定して稼働させる重要性が以前よりも高まっています

P.S 私自身、身体の健康維持にも設備保全が必要だなと感じています。健康を害してから行う事後保全ではなく、体調を崩さないように事前に気を付ける、予防保全と予知保全を取り入れていこうと思いました。

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