精密水準器とは?【感度・精度・使い方まとめ】機械のレベル出し・調整のための

精密水準器についてを知りたい方「精密水準器とは…。使い方がよくわからない…。工作機械のレベルをどう調整しているの…。誰か具体的に教えてください。」

こういった疑問にお答えしていきます。

本記事の内容

  • 精密水準器とは?
  • 水準器の感度について
  • 気泡水準器の精度の区分
  • 精密水準器の使用方法をまとめ
  • 5つの取り扱い注意点

本記事の信憑性

この記事を書いている私は、15年の大手工作機械メーカーでのサービスエンジニア歴2000件以上のメンテナンス実績をもとに、現在は独立してフリーランスのサービスエンジニアとして活躍しております。

動画解説:精密水準器とは?【感度・精度・使い方まとめ】機械のレベル出しのための

本記事の「精密水準器について」を抜粋して動画で解説しております。文字情報よりも頭に入りやすいと思います。

「機械のレベルを出したいのだが、そもそも精密水準器とは…。使い方がいまいち理解できない…。使用時に注意するところは…。」こんな疑問をお持ちではないでしょうか?

私自身、いつも精密水準器を使っているエンジニアでも、「精密水準器がどういった原理なのか…。表示や規格について…。正しい読み方…。注意する点はどんなことなのか…。」といったことをよく理解できていないまま使用しているところを多く見てきました。

そんな私が、精密水準器について詳しく解説していきます。

※3分ほどで記事は読み終わります。3分後には、今までよりも精密水準器への理解が深まっていると思います。

精密水準器のことで疑問がある方必見です。

精密水準器とは?

精密水準器とは何かを詳しく解説していきます。

精密水準器

精密水準器は、工作機械等の据付け・レベル出しに使用され、機械の真直度や水平度、平面度等の測定を行ないます。主に機械が水平に置かれているかを測定します

気泡式とデジタル式があり、今回は基本となる気泡式精密水準器について説明をします。

気泡式水準器

気泡式水準器は円形のガラス容器の中にアルコールやエーテルなどの液体を入れ、表面に気泡を残したものです。

液体が満たされている容器内に少量の気体を入れると、入れられた気体は容器の最も高い位置に移動、集合して一つの気泡となって静止する性質があります。その気泡の静止位置で、機械の傾きを測る測定器です

水準器の感度

水準器の感度とは、気泡を1目移させるのに必要な傾斜を、底面1000mm(=1m)に対する高さ(mm)、または角度で表すものです。本体サイズが異なっても、精密水準器の感度表示は全て1000mm(1m)あたりの感度となっています。

具体的には、感度0.02mm/mだと、1000mm(1m)に対し0.02mmの高さの変位を測定できます。製品には1DIV=0.02mm/Mなどと表記され、1DIVは1目盛あたりの感度を表します。1目盛気泡が移動すると、0.02mm/mの高さの変位があるということですね。

ガラス管の曲率半径と傾斜角をもとに1目盛り当たりの感度を表します。ガラス管の曲がり具合で感度を調整しているんですね。どうやって作っているんだろうと驚きです。

水平器の感度はJIS規格によって一種(0.02)、二種(0.05)、三種(0.1)分けられ、一種の0.02とは水平器から1m先で0.02mmの高低差があれば、気泡が1メモリ移動するという感度の高さを表しています。つまりこの数値が小さいほど感度が高くわずかな傾斜でも測れるということです。

区分感度
1種0.02mm/m(≒4秒)
2種0.05mm/m(≒10秒)
3種0.1mm/m(≒20秒)

秒=1/3600度

気泡水準器の精度

精度とは、測定のバラツキを表します

JISではA級とB級に等級が区分されています。

工作機械のレベル出しにはA級を使用します

指示精度の許容値

項目感度の区分A級B級
全範囲精度1種±0.5目盛±0.7目盛
 2種及び3種±0.3目盛±0.5目盛
隣接精度1種2種及び3種0.2目盛0.5目盛

水準器の使用方法まとめ

  1. NC旋盤やマシニングセンタなどの据付け・レベル出しでは基本この規格の水準器を使います。気泡式精密水準器( J旧1 種A 級感度: 0.02 mm/l m)
  2. 気泡長さとゼロ点調整
    1. 気泡長さを、基準目盛り線の幅±2 目盛り以内に調整
    2. ゼロ点調整は、半目盛り以内(180°反転させて気泡が同じ位置に来るように調整)
    3. 目盛りは、正面から読む(視差を無くす)
  3. 水平測定と調整
    1. 水準器の底面や測定箇所を清掃する。
    2. ゼロ点調整された水準器を測定箇所に置く
    3. 機械のジャッキボルトにて、左右と前後方向の傾きを調整

※機械により必要な水準器の感度や精度は変わります。必要に合わせたものを使用するようにしましょう。

※気泡長さやゼロ調整の詳細は、各水準器の取り扱い説明書で確認できます。

レベル出しは慣れていないと、どのジャッキをどれだけ触ればいいのかわかりずらいと思います。最初のうちは1つか2つのジャッキを触り、どれだけジャッキを上げ下げしたか覚えている状態で、気泡の動きを確認しながらレベル調整していくようにしましょう。

水準器取り扱い時の5つの注意点

  1. 測定面(水準器底面・側面) は、サビや打ち傷に注意(保管する時はさび止めを添付しましょう)
  2. 保管や持ち運びー、専用ケースに入れて行なう
  3. 周囲温度に注意(気泡長さは、1℃で半目盛り変化)
  4. 水準器を手で持っ時は、断熱板を持っようにする
  5. 測定面や測定箇所は、綺麗に清掃し、ゴミ・汚れが無いようにする

精密水準器はなんとなく使っている人がけっこう多いです。この機会にしっかりと原理・原則を理解することで、精密水準器の正しい使用方法や選定、スムーズなレベル調整、お客様や社内への分かりやすい説明につなげていきましょう。

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