HOWAマシニングセンタのY軸ボールねじ・ベアリング交換と原点調整|作業実録【MBN-460VQ1】

🛠 はじめに|定期メンテナンス対応での作業記録
今回の作業は、定期メンテナンスの一環として実施したものです。
対象は、大手自動車メーカーの部品加工ラインで稼働しているHOWA製マシニングセンタ「MBN-460VQ1」。
この機種はライン内に複数台設置されており、当社でもY軸のボールねじ・ベアリング交換を多数対応してきました。
今回はその中でも、動作にやや違和感のあった個体に対して、事前の計画に基づいて分解・部品交換・原点再調整までを実施。
現場でのポイントや注意点を交えてレポートします。
🔧 作業前の準備|工具・治具・安全対策
使用工具・備品(一部抜粋)
・トルクレンチ(5〜10N)
・ラチェット(12.7mm)+延長パイプ
・電動ドリル・インパクト
・吸盤ツール(カバー脱着用)
・マスターバー・ピック(原点記録用)
・案内ボルト、押し当てブロック
・バキューム、ウエス、ビニール・段ボール(養生)
・脚立、安全帯、ライト、ロックアウトキー
現場での工夫と注意点
・ボルトの長さに違いがあるため、取り外し時にマーキング必須
・カバー類は干渉しやすく取り回しにコツが必要
・作業エリアの養生と落下対策も重要
🌀 分解〜交換|ポイントは「重たいカバー」と「ユニットの固着」
作業開始後は、まずカバー類を取り外し。
吸盤ツール+脚立を使い、安全を確保しながら取り外していきます。
特に側面の大カバーは重量があり、干渉ポイントが多いため、2名体制での作業が推奨です。
その後、ボールねじユニットを外す際は、固定ボルトを外した上で、大きめの樹脂ハンマーを使用して慎重に叩き出す方法を採用。
固着がある場合でも無理にこじらず、構造に負荷をかけないように注意しながらユニットごと丁寧に取り出します。
🧼 組み付け&フランジ締結|「掃除8割、締め2割」
分解したユニットは一度作業室へ。
洗浄後、ベアリングを正面合わせでセットし、再組み付けを行います。
フランジ取り付けは、トルクレンチで5N→7N→10Nと段階締め。
芯出しと均等な締め付けで、加工時の振動や精度への影響を最小限に抑えます。
また、押し当てブロックや周辺部は、組み付け前に必ず清掃し、誤差要因を排除しておくことも重要です。
📍 原点調整|「あれ?逆だった…」を防ぐために
原点調整では、測定値と座標入力の方向に注意が必要です。
数値の正負と実際の動きの感覚が一致しているかがポイントになります。
🔧 今回の事例(三菱 MELDAS系)
• 測定値:+0.06mmのズレ
• 原点としては:-500.06mmを入力して補正
■ 三菱制御機での原点合わせ手順
1. CNCモニタの「基準点 1-1」で原点リセット
2. 「自動初期セットモード」で押し当て動作
3. 原点確立後に電源の入り切り
4. テストバーでの位置確認
5. 必要に応じて「絶対モニタ」で微調整
🔧 FANUC系での基本的な流れ
• FANUCも原点合わせ後の座標値の確認と補正が重要。
• 「ZRN(ゼロリターン)」→「原点戻り」→「パラメータ補正」で調整。
■ FANUC制御機での原点合わせ手順(例)
1. 原点復帰(ZRN)を実行
2. 実測値との差を確認(押し当て寸法と表示値)
3. 必要に応じてパラメータやオフセットで調整
4. 試運転で動作確認
✅ ポイント
• 原点復帰後の座標表示が、実際の押し当て距離を正確に反映しているかを必ず確認。
• 測定値の正負と、数値を入力する方向(±)を間違えないように。
• 数値と動作の「方向感」を合わせることが精度と安全性に直結します。
✅ 加工確認&完了|±5μm以内で安定
調整後は、暖機運転をかけ、実際に加工確認を実施。
3次元測定までは行いませんでしたが、テストピースの仕上がりにて精度良好と判断。
原点調整後の誤差は±5μm以内に収まり、位置再現性も問題なしでした。
✍️ まとめ|“記録と感覚”を積み重ねるメンテナンス
今回のような定期メンテナンス対応では、作業自体は段取り通りに進めば約1〜1.5日で完了できます。
ただし、以下のような点は常に気を配る必要があります。
• カバー干渉や取り付け順の注意
• 静的精度と組み付け精度の関係
• 原点調整における制御方式ごとの違いと感覚的判断
現場作業は“正解”が一つとは限らず、
「過去どうだったか」「この機械はどういう癖があるか」といった情報の積み重ねが、精度と安定につながっていきます。
今後もZ軸など、各軸ユニットの分解整備記録を順次掲載予定。
「どうしても外れないネジ、ありますよね…」といった現場あるあるも交えて紹介していきます!


